Rotten GEEK

ゲームや映画等の備忘録と趣味!!!!

【和訳】I Know You Too Well To Like You Anymore - Reel Big Fish

ヨウトゥーベのミックスリストか何かで出てきて、聴いたところノリノリアゲアゲなポップスに惹かれたのでざっくり訳したく存じます(意訳多め)

 

リール・ビッグ・フィッシュ (REEL BIG FISH) は、1992年にアメリカのカリフォルニア州オレンジ郡で結成されたスカコア・バンド。らしいです。(From Wikipedia)

 

気に入ったのでSpotifyのミックスリストで新規開拓してます

 

www.youtube.com

↑アニメMV。アニメーションの勢いがカートゥーンチックというか、西洋ポップカルチャーって感じでメチャ良かった

 

歌詞の概要は典型的ツンデレで、アップテンポに乗って繰り出される罵倒雑言が却って非常に心地よく、ラストの訳は特に楽しかったですね

ヴァンパイア云々のところは口語すぎてよくわからなかったので雰囲気です!!

 

Man→Green

Woman→Pink

Both→Yellow

 


I know you too well to like you anymore

君を愛するには知りすぎてしまった


I know you too well to like you anymore

愛するには知りすぎてしまったんだ


There's a nightmare where my dream girl was 

「オレの夢の見てた女の子だ」って思ってた

 

My prince charming is a bore

「アタシのカレ、飽き飽きするほど魅力的だわ」って


And I know you too well and I don't like you anymore

でも愛するには知りすぎてしまった、もう愛してなんかいないんだ

 

When we first started, even if you farted, I'd laugh and ask for more.

最初の頃は、たとえあなたがオナラをしたって、笑って「もっとやれば?」って言ってたわ


And in the beginning we always were grinning, we didn't know what we were smiling for.

そう、最初の頃は何にも面白いことがなくたって、お互いニヤニヤしてたんだ


We'd hold hands and then break dance, or rap like Dr. Dre.

手を繋ぎながらブレイクダンスして、ドクター・ドレーみたいにラップしてたの


And side by side, we'd drink all night, disgusting all our friends with our PDA.

そして並んで一晩中呑んで、イチャイチャしてダチに疎まれてたっけ


You felt so good deep in my heart, and that's for sure.

心の底からあなたを良い感じだって思ってたの、それはホント


But now I feel sick when I'm around you.

でも今は近くにいるだけでイラついてくるんだ!


It hurts my head to think of how...

ああ、頭痛がしてきやがる!

 

I know you too well to like you anymore

君を愛するには知りすぎてしまった


I know you too well to like you anymore

愛するには知りすぎてしまったんだ


I'm stuck with someone I can't stand

この腐れ縁にはもう耐えられない


I can't stand you even more

それはこっちのセリフよ!


And I know you too well and I don't like you anymore

そして愛するには知りすぎてしまった、もう愛してなんかいないんだ

 

 

I hate the way you always say you could find somebody else.

あなたの「君ならもっといい人が見つかるさ」って言い草がムカつく!


And you've got me on such a tight leash that I'm starting to strangle myself.

そう言ってオレを束縛して、降参するのを待ってるんだろ?


You criticize, I know that I'll never be what you want me to be.

あなたにいくら責められたって、絶対思い通りにはなってやんない


When you used to be such a sight for sore eyes, but now looking at you is like a knife in me.

昔は「会えて嬉しいわ!」って風に目を向けてきたのに、今となっちゃその視線がナイフみたいだ


Your heart is filled with daggers

あなたの心は短剣みたいに尖ってるのね!


Your kiss is like razor blades

なら君のキスはカミソリみたいに刺々しいね!


You'd rather stroke that champagne bottle

そのシャンパンをイッキして、脳卒中にでもなって欲しいわ

 

I'll toss you a hand grenade!

榴弾を放り投げてやろうか!

 

I know you too well to like you anymore

君を愛するには知りすぎてしまった


I know you too well to like you anymore

愛するには知りすぎてしまったんだ


You're mean and you're unfriendly

あなたは意地が悪くて、薄情なヤツね


Well you're an attention whore

それで、お前は構ってちゃんってな


And I know you too well and I don't like you

そして愛するには知りすぎてしまった、好きじゃいられない…

 

But I love you. Please stay.

それでも愛してるんだ、そばにいてくれ


No one makes me more miserable so please don't go away.

君みたいなヤツは他にいない、どこにも行かないでくれ


'Cause I need you always.

いつだって君が必要なんだ


I'll never be able to forget you!

あなたを忘れたり出来るわけないんだから!

 

I wish that I had never met you!

最初から出会わなきゃ良かったのに!

 

(Coolish Guitar Solo)

 

How did this all get so ugly, you became so strange.

どうしたらそんなに拗らせて、キモくなれるのかしら


You're always coiled back, ready to attack. Your lips curled over your vampire fangs.

君はいつも「痛い目に遭いたいの?」って風に髪を後ろに結って、ヴァンパイアみたいな歯の上で唇を歪めるんだ


They say be careful what you wish for, it just might come your way.

みんながアタシに、「カレの言うことを何でも聞いてると、思うがままにされるわよ」って忠告してたの


Well, I dreamed about you baby, but now I'm dreaming of my escape.

ああ、いつかは君との子供を夢見てたけど、今はただ逃げ出したいんだ


I knew you were a bad idea, but I had to have you anyway.

あなたが良からぬことを思ってるのはわかってたけど、一緒にいなきゃいけなかった


Now of all my worst mistakes this one is here to stay!

オレの一番の過ちと言ったら、君と一緒にいるのを選んだことだ!

 

 

You're a son of a bitch, you know that?

一応言っておくけど、アンタはクソ野郎よ

 

【Repeat Part】

I know you too well to like you anymore

君を愛するには知りすぎてしまった


I know you too well to like you anymore

愛するには知りすぎてしまったんだ


There's a nightmare where my dream girl was 

「オレの夢の見てた女の子だ」って思ってた

 

My prince charming is a bore

「アタシのカレ、飽き飽きするほど魅力的だわ」って


And I know you too well and I don't like you…

でも愛するには知りすぎてしまった、もう愛してなんか…

 

I'm stuck with someone I can't stand

この腐れ縁にはもう耐えられない


I can't stand you even more

それはこっちのセリフよ!


And I know you too well and I don't like you…

そして愛するには知りすぎてしまった、もう愛してなんか…

 

 

 

You're a slut! You're a dick!

このクソアマが! チンカス野郎!

 


You're a whore! You're a prick!

尻軽女! クズ男!

 

You make me fucking sick

お前といると病んじまう!

 

You've got no tits! Well, you're a needle dick 

貧乳! 粗チン野郎!


I'm so sick of your shit!

もううんざりだ、畜生!


Well you're a hag, and you're a drag

お前はクソババアで、そしてアンタは性悪男

 

You drive me fucking mad!

今にも気が狂いそうだ!

 

Well I wish you'd go to hell!

地獄に落ちればいいのに!


But I love you

それでも愛してるんだ


Oh well...

ああ、もう…

 

【和訳】Panty & Stocking with Garterbelt OST - Champion

パンスト最終話のラストシーンの挿入歌、"Champion"の超絶今更和訳です

サントラの曲で一番すこです

 

www.youtube.com

 

You don't know how much I hate All the things you do

アンタがやる事何もかも、アタシにとっては気に入らない


T-R-O-U-B-L-E That is what you are made of

アンタ自身が、厄介ごとそのものって感じ

 

Hell is where you belong

地獄こそ、アンタに相応しい場所


Heaven can not wait for you

(けれど)天国はアンタを待ちわびてるみたいね

 

*So close your eyes & make a wish

だから目を閉じて、神サマに祈りな


Today's the day that I am fighting you

今日こそ本気でやり合おうじゃん


It's my turn to be A champion

今こそアタシが"Champion"になる時ね

 

**So shut your lies & count to three

だからウソを取っ払って、3つ数えな


I'll take you down & you'll be smithereens

テメーをぶっ倒して、粉みじんにしてやるよ


It's my chance to be A champion

今こそアタシが"Chamipon"になるチャンスね

 

Even if I lose my power I'll get right back up

もしアタシが力を失くしたって、すぐ復活してやるよ


'Cause that's the power of love

だってそれこそ愛の力

 

Something you don't have

アンタには無いものなんだからさ

 

Heaven can not wait for you

天国はアンタを待ちわびてるみたいね

 

*repeat

 

**repeat

 

S-T-U-P-I-D (x3)
You're so stupid, stupid, stupid


S-T-U-P-I-D (x3)
You're so stupid, stupid, stupid

 

*repeat

 

**repeat

 

S-T-U-P-I-D (x3)
You're so stupid, stupid, stupid

 

S-T-U-P-I-D (x3)
You're so stupid, stupid, stupid

 

S-T-U-P-I-D (x3)
You're so stupid, stupid, stupid

 

S-T-U-P-I-D (x3)
You're so stupid, stupid, stupid

 

アニメ吹き替えから学ぶクソ英会話 「Panty & Stocking with Garterbelt 英語版」

今回は私が愛して止まない、カートゥンチック+ジャパニーズテイスト+下劣+ハイテンポアニメ「Panty & Stocking with Garterbelt」の英訳版からです。

 

このアニメ、もともとの作風がカートゥーン調なこともあってか英訳版が相当にマッチしてるんですよね。インタビューか何かで本編のスタッフが監修しながら収録した、とか見た気がしますわ[要出典]

www.nicovideo.jp

ウ~ン素晴らしいマッチ具合。

 

私はAmazonで買った海外版のブルーレイを持ってるんですが、英語音声と英語字幕の内容が違うもんで英語版の全容がわからないんですよね~(字幕はほぼ直訳、吹き替えは意訳まみれのネイティブ発音)

 

日本で出たForever Bitch Edition(BDBOX)には英語吹き替えとそれに準ずる字幕が完備されてるらしいので買わねば………いつか…

 

 

今回は上記クリップにも含まれている"口上"のシーンを取り上げます

[Anarchy姉妹がジャポニズムに溢れた変身をキメながら]

 

 "O pitiful shadow lost in the darkness, O evil spirit born of those drifting between Heaven and Earth. May the thunderous power from the garments of these holy delicate maidens strike down upon you with great vengeance and furious anger, shattering your loathsome impurity and returning you from whence you came! REPENT, MOTHERFUCKER!"

 

pitiful : 哀れな, poorとほぼ同義
drifting : 漂流する、彷徨う
thunderous : 雷を起こす~
garments : 服, 日本語の"衣"の部分
maiden : 処女。 アイアンメイデンってそういう意味なんですね
vengeance : 復讐
furious anger : 激怒
shattering : 打ち砕く
loathsome : 忌まわしい
impurity : 不潔,不純
repent : 悔い改める、命令形なので「悔い改めよ」
MOTERFUCKER : クソ野郎、豚野

 

 

[日本語版、原文]

天地の狭間に惑いし子らより産まれし邪悪な精霊よ
聖なる処女の柔肌に纏いし衣の雷で
穢れも濁りも淀みもしこりも
微塵に砕いて天地に還す
悔い改めよ!

 いや、単語難しっ

グーグル翻訳をかなり酷使する羽目になりました。

 

珍しい表現を用いて、厳粛な(まさしく神聖な)雰囲気を醸し出しておいたうえで、最後にはあのワードを叫んで(後述)〆ることで、本編で魅せられるアナーキーさを表現しているのではないでしょうか。(雑考察)

 

言うまでもないですが、Anarchyは「無法・無秩序・無政府」の意で、日本語においては「穴あきパンティ」「穴あきストッキング」という駄洒落になっていると言われていますNE。

 

肝心の本文ですが、原文のニュアンスとホーリースピリットを残しつつもアレンジが加えれられていてかなり良い訳だと思います   "with great vengeance and furious anger"、「大いなる復讐と憤怒によって~」ってとこはまさに天の使いの口上って感じで面白い。

 

"shattering your loathsome impurity and returning you from whence you came!"、「忌まわしき不純を打ち砕き、出づる場所へ還す」のとこもつよそうでいいですね。

 

口上のドタマについてる"O~"の意味は調べてもちょっとわからなかったんですが、日本語でいうところの「おお、神よ!」に近い感じでしょうかね?

 

そしてなんと言ってもシメの"REPENT, MOTERFUCKER"、「悔い改めな、クソ野郎」ですよ。

 

原文からして、聖書の「汝、悔改めよ」を引用しているのは間違いないわけですが(宗教のことは無知なので間違っていたらso sorry. 「汝悔い改めよ」といえば高校の現代文の教科書に載っていた小説「藤野先生」の印象が強い。余談。)、それをそのまま英語にするだけでなく、(英語圏へ向けての)一捻りとしてFワードを加えるという手腕。

 

かくして、決めゼリフにピー音が入るという前代未聞の表現が為され、原作の持つアナーキー・スピリットが体現されたというわけです。恐らく。

洋ゲー・洋画から学ぶクソ英会話 「FIGHT CLUB, GTAVC」

作中の会話から口語表現及び汚いスラングを学ぼう!!!(そして世界観への理解を深めよう)という試みから成る自己満記事

 

私の授業ノートの如く乱雑な纏めようなので、見にくいんだよバカが、と思ってもそこは勘弁してください。

 

[FIGHT CLUB タイラー・ダーデンの演説シーン]

Tyler:“We've all been raised on television to believe that one day we'd all be millionaires, and movie gods, and rock stars. But we won't. And we're slowly learning that fact. And we're very, very pissed off.”

 

[日本語訳]

Tyler:俺たちは皆テレビにこうそそのかされて育ってきた、いつか自分は大金持ちかスーパースターかロックスターだって。
だがそうじゃない。少しずつその現実がわかってきた。そしてとうとう頭がキレた!"

 

raised on~ : 〇〇で育つ

piss(-ed) off~ : ~にブチ切れる (超絶ダーティスラング

 

ご存知の通り"piss"とは「おしっこ」の意ですが(おならはpoo)、《be》pissed off でブチ切れる、ムカつく、頭にくるという卑俗的言い回しになります。 またイギリス英語では「酔っ払う」といった意味になります(Google情報)

 

Grand Theft Auto Vice City」にはこの言い回しが用いられている印象的なシーンがありましたね

 

[ゲーム終盤、主人公, Tommyは自らをハメたボス、Sonyを騙し返そうと偽札を譲り渡すが、ある事情から見破られる]

 

Sonny Forelli: Tommy, what was the big plan? You think I'd just take the fake cash? Save face and run away with my tail between my legs?!

 

Tommy Vercetti: No. I just wanted to piss you off before I kill you.

 

save face : メンツを保つ

with my tail between my legs : 尻尾を巻いて

 

[日本語訳]

Sonny Forelli: トミー、こんなものがお前の計画か? 俺が偽札を掴んで、(お前のメンツを立ててやって)ノコノコ逃げ帰るとでも?

 

Tommy Vercetti: いいや。お前を殺す前に、苛つかせてやろうと思っただけさ。

 

日本語版では、前者のソニーのセリフにおける()部分のニュアンスは省略されており、また後者のトミーのセリフは「いや 殺す前の冷やかしさ」と訳されていました 良い意訳だ…

 

 

 

アニメーション映画の最高峰、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」について、めっちゃ早口で語る【考察、感想】

「もう私は、躊躇ったりしない」


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まどか☆マギカ」。テレビ版を観て結末に感服し、劇場版の結末に度肝を抜かれて一ヶ月ほどが経つが、未だ余韻は抜けず、隙あらばまどほむについて考えている。ので考えを記しておきたくなった。

 

ストーリーについての考察
鹿目まどかの自己犠牲により、大団円を迎えた…と思われていたテレビ版のストーリーへの「叛逆の物語」。

 

どんでん返しとも言える大オチは賛否両論だが、どの視点で物語を見ているか(作品として俯瞰して見ているかどうか)で変わってくると思う。       が、"キャラ目線で見る"派の中でも、暁美ほむらの心情を重視するかどうか、つまり許容するかどうか、でまた受け取り方が変わってくる。その点も興味深い。

 

鹿目まどか」と「暁美ほむら」は、何故袂を分かったのか


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表の主人公・まどか、裏の主人公・ほむらという構成がなされているのがテレビ版だが、今作はストーリーの主軸を完全にほむらに置いている。


結末を含め、本編では描写し切れなかった(しなかった)暁美ほむらというキャラクターを補完する作品ではないか、と感じた。


まどかは自らの意志で「自らの人生と引き換えに、全ての魔法少女を救う」という決断を下し、「神にも等しい」存在になった。しかし、それを可能にさせる力を与えたのは他でもないほむらである。ほむらはまどかを救うために様々なものを犠牲にして戦ってきたが、最終的にはそれらの行動が自己犠牲を可能にしてしまった。

 

まどかは概念に成り果て、彼女の記憶はほむらの中にのみ残される。そしてほむらの願いは達成されることなく、「まどかにとっての」ハッピーエンドで「まどか☆マギカ」は一旦幕を閉じる。"たとえ全ての魔法少女が救われようとも、暁美ほむら個人の感情、そして献身は報われないのでは"という解釈を膨らませた結果の「どんでん返し」とも言える。

 

そして、ほむらが「大団円」の歪みを悟り、「まどかを守れる自分になりたい」という彼女の最初の願いに立ち返るのがこの映画の前半〜中盤にかけての筋書きだ。(花畑で2人が言葉を交わすシーンは、そういった意味で特に重要と言える。 まどかの「素の思い」を聞いたほむらは、まどかの願いを尊重するあまり封印していた「自らの願い」を再び胸に抱く)

 

そして終盤、ほむらは「円環の理」から本来のまどかをもぎ取り、自らが作った世界に閉じ込める。この映画について語られる際、この「悪魔化」のシーンの印象から「闇堕ち」等と表現されることが多い、しかし果たしてそれは正しい表現だと言えるのだろうか?

 

円環の理、鹿目まどかは、宇宙の因果律を書き換え、新たな摂理を制定した。確かに起こしたことの大きさで言えば神と言うべき存在(今作の中で、キュウべぇは円環の理を「神」、ほむらは「神にも等しく聖なるもの」と表現している)であり、それを貶めたほむらは悪魔と言うべきだろう。

 

しかし、彼女にとっては悪魔だろうと神だろうと何だって良かったのではないだろうか。(参考:Blu-ray特典、Material Bookの記述)


彼女自身、

「あなた(まどか)の為なら、私は永遠の迷路に閉じ込められても構わない」

(魔法少女まどか☆マギカ 第10話、暁美ほむら)


「どんな姿に成り果てたとしても、きっと平気だわ。あなたが側にいてくれさえすれば」

(叛逆の物語、鹿目まどかに再開した際の暁美ほむら)


と述べており、実際にストーリーにおけるほむらの行動は全て一貫してまどかのためのものだった。その行動原理は今作でもまったくブレておらず、悪魔化などは「結果のための行動による副産物」なのではないだろうか。(実際に彼女は、仲間の命を含め結末に至るまでの幾つもの時間軸でまどかのために多くの犠牲を払ってきた)

 

ここで注目すべき点は、TV版最終話においてキュウべぇに「神になるつもりか」と問われた際のまどかの答えと、ほむらのこうした思いは重なる部分がある、ということだ


「神様でも何でもいい。今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい。それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、変えてみせる」

(魔法少女まどか☆マギカ 第12話、鹿目まどか)

 

魔法少女になる前のまどかとほむらは、ある意味で似た者同士であった(自己嫌悪、無力感)ことは幾度となく示唆されている。彼女らは二人共「自分が本当にやるべきこと」を探していた。


であれば二人は、その「自己実現」のための目的を、絶対に相容れない形でそれぞれ見出しぶつけ合った、と言えるのではないだろうか。


鹿目まどかは自らの願いのため(全ての魔法少女と世界のため)に、ほむらの想いを犠牲にし、
暁美ほむらも自らの願いのため(まどかを守るため)のために、まどかの想いを犠牲にしたのだ。しかしそれでいて尚、2人はお互いのことを想いあっている。


こう見ると、ほむらが成したことは、本質的にはまどかが成したことと変わらないようにも思える。こうした「真の正しさとは」という、いわば概念的なところに問いを投げかけ、訴えてくる作品である。

 

暁美ほむらの「理想の世界」と、美樹さやかとの関係


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彼女を語る上で興味深いことは、「行動の全てをまどかのためと位置づけながらも、他の人間をどうでもいいと思っているわけではない」ということが、語られずとも示唆されていることである。


魔女と化したほむらが創り上げた世界は、美樹さやかが表現したように、「皆で手を取り合って生きていく」世界。そこでは誰かが死んだり、絶望したりすることはなく、一切の「都合の悪いもの」が「都合良く」書き換えられている。


その世界の中で、転校生として見滝原中学にやって来たほむらはまどかと親密になる。そこがほむらが創りあげた世界である以上、これは当然だろう。(「鹿目さんとの出会いをやり直したい」という当初の願いの一部でもある)


が、それに加えて、「巴マミには、魔法少女になる前の彼女を支えていたベベというパートナーがいた」、「佐倉杏子美樹さやかの家に居候し、普通の女子高生のように学校へ通っている」といった設定も付与されている。


これらの「都合良い設定」こそが、ほむらの想いを暗に表している。彼女は確かにまどかのために多くの犠牲を払ったが、その犠牲に無頓着だったわけではない。(TVシリーズにおいて、杏子が魔女化したさやかと心中した後のシーン等でもそのことは仄めかされている)


だからこそ「叛逆」のさやかは、(「円環の理」の一部となったことで)ほむらの想いを理解し、歩み寄ろうとしている。本編では決して相容れなかった二人だが、ようやくその関係に良い兆しが見えるのだ。


「ねぇ、これってそんなに悪いことなの?誰とも争わず、みんなで力を合わせて生きていく。それを祈った心は、裁かれなきゃならないほど、罪深いものなの?」


「随分と手間かけさせてくれたもんだけど、まあ、あいつのためなら、仕方ないか。ここまで頑張ってきてくれたやつには、それなりのご褒美があってもいいもんね」

(何れも叛逆の物語、美樹さやか暁美ほむらに対して)

 

本編において、さやかはほむらを「転校生」と余所余所しく呼び続けていたが、終盤では「ほむら」と気兼ねなく呼ぶ。そしてそのまま、ほむらはまどかの救済を受け入れ、二人はついに和解に至る、筈だったが───

 

最終盤、悪魔ほむらが書き換えた世界の中で、さやかはただ一人、(百江なぎさは覚えていない一方で)ほむらが成したことを覚えている。さやかは自らがほむらに立ち向かうことが出来ないと悟りながらも、ほむらがやったことは忘れない、と咆える。


このパートの疑問として、「なぎさは自らが円環の理であったことを忘れている(忘れさせられた)のに、何故さやかは覚えていられたのか」ということが挙げられる。視聴者の中でも解釈が分かれるところだが、読み取り方の一つに「かつての自分を覚えている者に、消えてほしくなかった」というものがある。


当初、「悪魔ほむら」は今よりもダークで描かれる予定だった(1st take)が、視聴者に想像の余地を与えるために敢えて曖昧な描き方にした、そしてほむらに人間味を残したかった、ということが制作陣のインタビュー等で語られている。


だとすれば、前述の読み取り方も信憑性を帯びてくるように感じられないだろうか?「自分がいたことを、誰にも覚えてもらえない」辛さを味わいたくないがための行動だったのだろうか?

 

 


そのあたりは続編によって明らかにされそうである。ていうかさやかの指輪が映るところなどはもう完全に続編フラグである。にも関わらず6年も情報がない。出してくれ。「神と悪魔の誕生」ということで綺麗に纏まっているかもしれないが、それはそれとしてこのあとどうなるか見たいから出してくれ。

 

演出・魅せ方について


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ここからは、3000字を費やしてここまで述べてきたストーリーが、どういった風に魅せられてきたか、どこが良かったか、ということを述べる。(ここまでは一応考察だが、以降感想垂れ流し)

 

「希望を願い、呪いを受け止め、戦い続ける者たちがいる。それが魔法少女
冒頭、ほむらが魔法少女の運命について、ソウルジェムをバックに語るところから物語が始まる。裏ではどこかで聞いた声が、まるで昔話かの如く「円環の理」を語る。この演出は映画館ではめちゃくちゃ映えたであろう。リバイバル上映してくれ。

 

この語りによって、TVシリーズ、及び劇場版前・後編と共通した世界観である(注:厳密にはTVシリーズと劇場版はパラレルワールドTVシリーズは黒翼ほむらのシーンで完結している、とされている)ことを知らしめておいて、次の場面ではいきなり視聴者を混乱させる。概念と化したことが語られていた鹿目まどかが、当然のように世界に存在している。円環に導かれたはずの美樹さやかも。ここで視聴者(初見時の私)は「えっ?ここはどういう世界線?」と翻弄される。そして”Welcome to Cinema"の文字。


こういった仕掛けは、TVシリーズの頃から視聴者を翻弄することに定評があった本シリーズらしい巧みなやり口である。

 

「どんな子かな。お友達になれると良いなぁ」
そして何度目かの鹿目家。混乱する視聴者を後目に繰り広げられる"いつもの光景"と、喋らないキュウべぇ


そしてオープニング。神曲、「カラフル」。前編・後編同様ClariSの素晴らしい楽曲から始まる。(歌詞の考察は既出なので割愛)


オープニングでは、冒頭のような幸せな風景が繰り広げられる。ただ一人、ほむらを除いて。明るい曲調の中繰り広げられる明るい光景の中で、彼女だけが浮いている。(ここも含め、視聴者を世界観に引き込む冒頭部分の作画の美しさは特に素晴らしい。まどかがほむらの手を取り、走り出すシーンなどはコマ送りで観たいほど)


象徴的なのは、四人が楽しげにダンスを踊る中、茫然自失といった風にひざまずく彼女。ここで視聴者(初見私)は明るさの中にある不気味さや得体の知れなさを感じずにはいられない。


ほむらが手を伸ばし、触れようとしたまどかが砂となり消える、ほむらは涙を流し打ちひしがれる。カメラが引き、TVシリーズ最終話Cパートで描かれたような砂漠が映され、タイトルロゴ。始まって数分で、様々な感情と疑問を抱かせる完璧な導入である。

 

「まぁるいケーキはだーあれ?」
その後もしばらくは、真の魔法少女ものの如き平和な光景が続く。戦闘シーンの前では各自が変身をキメ(ここの作画すごすぎ)、「ピュエラ・マギ・ホーリークインテット!」とチーム名(一節ではマミさんがつけた等と)を叫び、華麗に戦う。戦闘シーンの作画などは、元々良かったTVシリーズから(潤沢な予算のためか)更にパワーアップしており、凄まじいゴージャスさになっている。最高。

ファンが、暁美ほむらが思い描く幸せで煌びやかな世界が展開される。

 

「私の中にあるあなたの印象と、その…あまりに食い違ってるんです。佐倉さんって、こんなじゃなかったような…」


そしてほむらが世界に違和感を抱き始め、杏子と共に風見野市へと向かうパート。ここの前後から不穏な空気か漂い出し、ストーリーの展開を感じ始める。本編でも、他のメンバーとは違う関係を見せた(9話終盤等)、ほむら×杏子の掘り下げ&ファンサービスでもある。


コラージュのような住人や、ゲームの裏世界のようなバスの路線など、アニメーションならではのやり方で不気味さを演出している。 ここでほむらがメガネを外し、三つ編みを解き、見慣れた風貌(クーほむ)に戻るが、このシーンの直前の、メガほむとクーほものちょうど中間、という微妙なところを演出に落とし込んだ声優の演技がもの凄い。

 

「記憶ってやっかいなものね…1つ取り戻すと、次から次へとよけいな思い出がついてくる」


そして(かつての)お菓子の魔女、ベベを結界を創り上げた魔女と断定し尋問しようとするシーン。「巴マミ。私はあの人が苦手だった」などと独白するほむら。(真実を突きつきけることが辛かった、という意)       

ほむらが世界に違和感を持ち始める辺りから、彼女の心情が世界自体に投影される演出が挟まれるようになり、それ自体が、この世界はほむらが作り出した世界であるという真実への伏線となっている。

 

「根比べなら、負けない」


そして始まるガン・カタ。凄まじい作画枚数。とにかくカッコいい。


オーディオコメンタリーで声優さんが「リベリオン(映画)を観てもらえると補足になる」と述べられていたので知見のためいつか観賞したいところ。そういえば、「叛逆」は英語で表現すると"Puella Magi Madoka Magica the Movie: Rebellion" だが、そこを狙ってのガン・カタなのだろうか。

 

「ご挨拶だね。あたしはあんたが知ってるとおりのあたしだよ。転校生?」


場面が変わりさやかとの問答。「後編」終了後に流れた予告で流れていた曲「for the next episode」のアレンジ、「another episode」。謎が謎を呼ぶと言った、ミステリアスかつ美しい曲の雰囲気が場面にドンピシャ。

全てを知っているかのような彼女の口ぶりは視聴者へのミスリード込みだろうか(オクタヴィアを召喚することも)。前述のように、さやかは「魔女となったほむらが創り出した結界」を否定しない。

 

「ほむらちゃん、ひとりぼっちになったらだめだよ」


そしてまどかと再会するシーン。二人の演技が素晴らしい。ほむらが決意を新たにした時、まどかが結んだ三つ編みがほどける、という演出はその後の展開を示唆している。
杏子→マミ→さやか→まどか と、全員に邂逅してゆく話の構成から、やはり今作はほむらが主軸のストーリーであると言える。花言葉にも意味があるみたいなガチ考察見て度肝を抜かれた。

 

「巻き込んでしまってごめんなさい」


バスに再び乗り込むシーン。世界が明確に壊れ始める。足音が何重にも聴こえる等、独特の演出が相変わらず良く働いている。イヌカレーの力。

 

「つくづく人間の好奇心というものは、理不尽だね」


キュウべぇの長台詞による種明かし。初めて複数個体が大量に映され、余計に嫌悪感を抱かせる。インタビューでも語られていたが、映像の情報量もセリフの情報量もメチャ多いのでここらへんは多分一度では理解しきれない。そして繰り返し観る度に演出の凝にも気づけて無限に楽しめる。Blu-rayを買いましょう。

 

「鹿目さん!私達も行くわよ!」


くるみ割りの魔女が姿を現す。ほむらは結界の中での自殺を試みる。そして始まるカウントダウン。神展開。さやかとなぎさの口上。さやかが「インキュベーター」と呼ぶのが感慨深い。We're here for youからのKalafina、ミステリオーソ。仲間として表れる使い魔達。ティロ・フィナーレ。アツい。さや杏。語るまでもない。

 

「わけがわからないよ」


ほむらが、「まどかを守れなかった、弱い自分自身」に銃を向けているのが痛々しい。(ここの自己嫌悪の描写は、コミカライズで更に掘り下げられている)
二人が弓を射んとするシーンは作画も相まって神々しい。絶望的に噛み合っていないということに気づかないまどか。

 

「待たせちゃって、ごめんね」


さりげなく後ろにいる中沢君。杏子が「あんたのベベ」と表現するのがとても良い。ハッピーエンドを祝福するかのように流れるアルティメットまどかのテーマ。

 

「この時を、待ってた」


宇宙を飲み込む彼女の愛。初見口ポカーンポイント。


ついに「利用される」側へと回るインキュベーター。奴等への叛逆の物語、でもある。
新たな「黒翼」。この時のBGMの曲名が「Her New Wings」。まどかと対象的な存在でありながらも、どこか神聖的な曲調がエモい。「まだダメよ」のフレーズが入っている。

 

「今の私は魔なるもの。摂理を乱し、この世界を蹂躙する存在」


ティーカップを割る」という、マミさん向けのやり方で決別を表明する。が、彼女の手には黒い羽。(これらの描写が、前述の「自分のことを忘れてほしくない」という説の裏付けとも言える)


杏子のリンゴを受け取らないように示しつつも、それを追いかける街の子供も同上。
ほむらの目つきや仕草が凄い。色っぽさがある。オーコメで提唱されていた「愛を自覚してから、色気を醸し出すようになった」という見方には目からウロコだった。

 

「まどか、って呼んでもいいかしら?」


件の「黄色のリボン」を身に着けているまどか。まどかが教室に入ってきた際の眼光がヤバい。碇ゲンドウポーズのほむら。


クラスメイトから明らかに距離を置かれているほむら。(案内をしている時、他の教室にいる生徒からも奇異の目で見られている)
目覚めかけるまどか。ここで黄色のリボンが弾け飛ぶのも意味ありげ。


鹿目まどか、あなたはこの世界が尊いと思う?欲望よりも秩序を大切にしてる?」


二人の道が、はっきりと分かれてしまったことが感ぜられる。「それでも貴方が幸せになれる世界を望む」と、もう躊躇う様子を見せないほむら。「涙を流す」という最後のシーンが、「悪魔」が人間性を失ってはいないことを象徴している。ここからエピローグにかけて神がかり的な芸術点。

 

エンディング。Kalafina君の銀の庭」。
本編の怒涛の展開の後の軽やかな曲調が染みる。
歌詞の意図するところは言わずもがな。ラスサビと、それに合わせての二人が手を繋ぎ走り去っていく映像の表現と余韻が最高。

 

エピローグ。ボロ雑巾と化したヤツ。「ルミナス」オープニングと異なり、隣のイスにはもう誰も座ってはいない。


映画の始まりであるオープニングと対象的に、ほむら一人がワルツを踊り、映画が・物語が終わる。やはりこれは暁美ほむらの物語だ、と再認識させられる。END,劇終。

 

シメ


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繰り返し観賞し、TVシリーズとはまた異なった雰囲気の世界観に浸っていたくなる芸術作品。
ストーリー、演出、キャラクターの見せ場、作画、視聴者への委ね方、何を取っても一級品。私の中のアニメーション映画ランキング暫定ダントツ一位であり、オールジャンルでも10本の指に入るほどの傑作だった。

最近観た映画の感想を5行ぐらいで書く

文章力を磨こうのコーナー

 

レザボア・ドッグス
タラちゃんの記念すべき第一作 この頃から、"予想が付かない展開"、"カッコいいカット"への追求に余念がない いかつい男の与太話から始まり、時系列をまぜこぜにしながらノンストップで繰り広げられる"剥き出しの暴力性"に恐れおののきつつもシビれる この盛りだくさんの内容を100分に収める手腕がとてつもない これとパルプ・フィクションで天下を取ったのも必然と言える 間違いなく、ギャングもの・クライムもののバイブル


ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
4回目ぐらいの鑑賞 イカれた”Wolfpack"達が暴れまわる人気シリーズの原点にして頂点
全編を通してハイテンション・ハイテンポ・バカ全開で展開され、イカしたサウンドトラック及び演出も充実で言うことなしだ 特にブラックジャック・シーンの魅せ方と選曲は神がかり 一作目ということで「羽目を外す」街であるベガスが舞台となっているが、場所自体の描き方・魅せ方もまたメチャメチャカッコいい 洋モノかぶれが加速すること請負いだ

◯劇場版まどかマギカ 叛逆の物語
心揺さぶられる結末を迎えたテレビシリーズへの「叛逆の物語」 鹿目まどかの想いを尊重するあまり、もう一つの魔法少女の救済という願いを、そして世界全体を捻じ曲げた暁美ほむらの行動、それを我々がジャッジすることは出来ないかもしれない だって理由は愛だから…………(「天気の子」と合わせて観ても面白い)         テーマ性を抜きにしても、従来通り計算尽くされた世界観の作り方、そしてゴージャスな演出(特に序盤、演出を楽しむ時間であると共に後々への伏線でもある)が素晴らしく、複数回観たくなる

 

キングスマン ゴールデン・サークル                   「秒でアガる」をキャッチに“ぶちかまされた“、人気作の続編    1作目から、「地下の秘密組織」「スパイアイテム」「スーツをぐちゃぐちゃに汚しながら肉弾戦をかます紳士」などワクワクに事欠かないような演出に拘り、それらに加えてハチャメチャで悪趣味な筋書きが展開されて来た、がしかし、今作においては、序盤で巻き起こる衝撃的な展開やらなんやらによる「コレジャナイ感」「やりすぎ感」散見され、多くの視聴者の首を捻らせた 私もそれらが気にならなかったと言えば嘘になるが、However, 1作目以上に突き詰められたハチャメチャさや、従来のごときキレキレ戦闘シーン(1作目の教会のシーンが最高峰)、そして紳士たるもののメッセージ性は健在で、決して、過去作のテーマをガン無視したり、あまりにもノリが変貌してしまったりする“ダメな続編“の典型ではなかったように思う 戦闘で言えば、特に終盤に繰り広げられる激しい攻防戦にはアガった、アゲアゲにさせられた

(超過したため終了)

「グランド・セフト・オート」に感性を形成されたという話



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【導入部】

私は小学校低学年からインターネットにどっぷりと浸かっていた。 IT世代の人間として時を過ごしてきた。

誰もが通る道と言える「おもしろフラッシュ倉庫」から始まり、学生向けの掲示板へと進出し、今も名を馳せる「Twitter」「ニコニコ動画」「5ch」などのコンテンツ(?)にも鼻たれ小僧だった頃から触れてきた(まぢで教育に悪いと思う)

 

ここらへんは本題ではないので詳細は省くが、そんな頃(2010年頃)からインターネットに触れていて、一体何を行っていたかと言うと、ある種の「ファン活動」だ。

私はマリオファン(兼任天堂ファン)と呼ばれる界隈の一員として、かつてネット上でなんかわちゃわちゃと色々していた。

 

しかし現在の私の興味は別の所にある 別にマリオや任天堂への興味が全く失せた、という訳ではなくある程度は残っているが、それもスマブラスプラトゥーン等、インターネットキモオタクの大多数が興味を示すものに迎合するに留まっている。

 

現在の私が主に興味を示すものは、「洋ゲー」「洋画」「音楽」「ミリタリー」エトセトラ(漫画などへの興味は以前からあったので割愛) そしてその中でも、過激なものであればあるほど好む傾向がある(危険人物の自己観察みたいだが他に表現が思いつかなかった。 派手だったりそんな感じのものが好きってことで…)

私はこの変化のきっかけ、大きなターニングポイントがあると確信する そしてそれこそが、まさにあのゲームとの辟易だ。

 

Grand Theft Auto

 

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(GTA VCの主人公トミー・ベルセッティ 開発者からもファンからも人気である)

 

【ここから本題】

GTA」「グラセフ」と言えば、誰もがどこかで聞いたことはあるだろう(特に男であれば)

強盗・暴力・殺人などの犯罪行為をメインとする「クライムアクションゲーム」の代表格で、世界的な売上・知名度といった名声も名高く、「最新作が発売された際、アメリカの犯罪率が一時的に低下した」という嘘か誠かわからぬ逸話まである。

 

だがその一方、「街を歩くNPCに対し暴力を振るい、殺害することが出来る」「窃盗・銃撃等の反社会的行動がゲームのメインファクターである」といった過激な内容から、各種メディアでも何度も現実での事件との関連性が指摘され、青少年の教育への悪影響云々といったアレな議論も古くから巻き起こってきた

勿論このゲームは18歳未満はプレイしてはいけない、ということになっているが、思春期の少年少女は「禁止されているモノ、過激なモノ」に惹かれるサガといえる 実際にPSP世代の元少年の多くは、GTAをプレイして育ってきたことだろう。

 

かく言う私も、中学生時代(恐らく中学一年生辺り)に、友人がPSPGTAをプレイしているところを傍から見ていたのが全ての始まりだ(多分そんな感じだったと思う) 

その友人は、おちゃらけた態度をとりつつ、ゲーム内で次々と人を車で轢いていた。平然と。

その光景に私はハチャメチャな衝撃を受けた 「こんなゲームが存在していいのか?」と思わされた。

 

少年期からインターネットに触れ、大量の黒歴史を作ってきたとはいえ、ある種の自己防衛本能で危険・過激なコンテンツからは身を引いていた私にとってその衝撃は計り知れなかった。

しかしプレイを見るにつれ、思春期ボーイであった私はGTAに惹かれた

「どこでもいける」「何だって出来る」       この自由度は、思春期ボーイにとってあまりに甘美であった。

 

ちょうど当時アニメ版が放送されていた「ダンガンロンパ」をプレイするために買ったPSPがあったので、やろうと思えばいつでもプレイ出来る環境であった。 かくして私は「バイスシティストーリーズ」をインターネットで購入し、プレイを重ねた。

そこにはまさに自由な世界が広がっていた 他の同級生がやっていたように、ストーリーは雑に読み進め、「チート」を使用し(GTAシリーズはチートがゲーム内に標準で搭載されている)、めちゃくちゃな遊び方をし…まあ満足した。

バイスシティストーリーズの経験はまあその程度であった メインは次だ

 

また別の友達の家に行き、いつものようにゲームをプレイして遊んでいた そこで見たもので、私は第2の核弾頭を食らうこととなる。

 

PS3で発売されていたGrand Theft Auto Vである。

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YouTube

(めちゃくちゃカッコイイトレイラー群)

 

そこにはVCSと比較して凄まじい進歩を遂げたGTAがあった。

実写と見間違うほどのグラフィック、街だけでなく高速道路・荒野なども含む広大すぎるほど広大なマップ、「映画のような」ムービーシーン、大量に用意された車・服などのカスタム性…

衝撃で完全にキレてしまった私は、間もなく中古のPS3とGTAVを購入する。 2014年の夏のことだ

 

なんと言ってもハマったのは同梱の「Grand Theft Auto Online」である

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プレイヤー間が殺し合いをすることもあれば(8割そうだったが)、平和的にドライブをしたり、車自慢をしたり、一緒に「仕事」をしたり、かと思いきや突然ぶち殺されたり…

正真正銘の自由度であった。 協力プレイで見ず知らずのフレンドを大量に作り、欲しい車や物件のために連日金稼ぎに勤しんだり、VCでの煽りに顔を真っ赤にして反撃したりした

インターネット上でも、「VC狩り」「他のプレイヤーに○○してみた」といった様々な動画が活発にアップロードされていた他、Wiki掲示板では自分の自慢のキャラクター・車の見せ合い・荒らしの晒し行為などが活発に行われ、1日に数百も書き込みがあったりと、界隈がまさしく盛り上がっており、またその雰囲気も楽しかった。 金を簡単に稼ぐことができるバグ技がわずか数時間で修正された際の混沌ぶりは笑いを誘った

現在はさておき、当時のGTAオンラインは間違いなく、自由で、楽しいゲームだったf:id:Mutifu:20190829203044j:image

(今年6月頃のプレイSTATS その後もちょくちょくプレイしているのでプレイ時間などはより増しているだろう)

 

が、ここで真に語るべきなのはGTAVのオフラインモード、ストーリーについてである

ストーリーは「成り上がりを目指す青年」フランクリン、「引退した元強盗」マイケル、「周りを引っ掻き回すイカれ野郎」トレバー の3人を中心に、豪快な犯罪アクションと世の中への風刺・皮肉をメインに演出した人間ドラマである

 

私は購入当初からオンラインにハマっていたため、多数のオンラインプレイヤーのようにストーリーに大して関心を持っていなかった

だがいざプレイしてゆくと、洋画的な派手な演出、登場人物様々な思惑が交わりつつテンポ良く進行するストーリー(テンポの部分が特に秀逸 ミッションにおけるストーリー展開に無駄がない)、そしてそこに込められたロマンと自由度に心酔することとなる

これこそがその後、洋ゲー、洋楽、洋画(特にアクション・サスペンス・クライムもの)にハマっていくきっかけである

私が今現在愛する「洋モノの良さ」はGTAVで全て培われたと言っても過言ではない

9年前の回想とマイケルの皮肉な「カウンセリング」から始まり、ご機嫌なポップスと共に展開されるオープニング

相棒であるラマーと、映画「パルプ・フィクション」のような無駄話をしながら強盗を働くフランクリン

強盗のために宝石店へと突入する際、セレブに銃を向けながら「その綺麗に整形された顔を汚させないでくれ」というキレキレなセリフを吐くマイケル

死んでいたと思われたマイケルの足跡を辿り、ロス・サントス(ロサンゼルスがモデル)にたどり着いた際、「ここが死者の蘇る街か、マイケル」と独り言ちるトレバー

どのシーンにもシビれさせられた  

 

これによって私が受けた刺激の結果が、タイトルの表す通りのことである

その後GTAシリーズの過去作を(見下ろしアクションである1,2,London,チャイナタウンウォーズを覗いて)ほぼ全てプレイし、その後は「Fallout」「メタルギアソリッド」「アサシンクリード」…など様々なゲームに手を出していく そもそもGTAがなければPS3を買うことも無く、今ゲームオタクとして生きているかも謎だ。

またGTAシリーズが影響を受けた映画(「スカーフェイス」「007」「ターミネーター2」等)をネットで調べることを契機に、洋画の界隈にも足を踏み入れる。

GTAのムービーは間違いなく様々な洋画をリスペクトしていて、アクションシーンなどは数々のアクション映画のいいとこ取りとも言える内容だが、私の場合は逆に「GTAみたいな映画を探す」という、GTAで義務教育を終えた男的価値観になっていたのである。

GTAのラジオで聴いたようなポップスを探して様々な音楽にも触れていった(特にVの「Los Santos Rock Radio」、VCの「FLASH FM」などは、その時代のポップスが揃う名曲揃い) Queenマイケル・ジャクソンなどといったスターや、その他様々なカルチャー(ストリートギャング、ハリウッド、移民等)GTAがなければ興味を抱いたかわからない。

 

思春期症候群からプレイに至ったGTAが、現在の私の趣味・趣向を間違いなく形作っている。

良いか悪いかはさっぱりわからないが、間違いなく、GTAは私の感性の形成において一端を担ったのだ ということを言いたいまでの記事であった。以上です。

 

最後に、GTAVにおける「決めゼリフ」を紹介して記事を終わろう

元強盗・マイケルは自分を死んだことにして強盗稼業を引退していたが、ある理由からそれを再開せざるを得なくなる。

その際に当時と同じセリフを使ってしまったことで、元仲間であるトレバーに、彼の生存を知らせることになる…という重要な伏線回収シーンだ。

 

 "You forget a thousand things every day, pal. Make sure this is one of them"

(人は日々多くのことを忘れるものだ このことも忘れるんだな)

 

これですわ…